吉村昭さんの本に触発され、続いて、東北を舞台にした小説など調べていたのですが、
その過程で、幾つかの東北の出版社を知ることになりました。
その一つが仙台市にある「荒蝦夷」です。そこが出版している地域誌「仙台学」。
ある大学で開催された特別教養講座(平成18年)で、「仙台学」の編集長が、
『地域を限定した雑誌ではあるものの、決して、お国自慢が目的ではなく、
地域に閉じるのではなく、自分の足元を確認する「場」でありたい』と語っている。
大震災で、その出版社も被災し、今は、他県に避難して、「仙台学vol.11」を刊行。
それが、「東日本大震災」です。伝えなければという凄味を感じます。
東北に関係ある、故郷であるといった作家やライター15名が綴った15編の記事。
これには、前書きも編集後記も無く、いきなり、それぞれの思いの活字が
目に飛び込んできて、胸を苦しくし、涙し、時には、憤りさえ覚えます。
とにかく様々な感情の渦に巻き込まれてしまいました。
『地域に閉じるのではなく』の言葉通り、宮城だけでなく、岩手、福島に及ぶ
情報や作者達の行動、思いの記録。
また、他県で震災の報を受け取った体験やもどかしさなども記されている。
執筆者(敬称略)は、赤坂憲雄、伊坂幸太郎、大島幹雄、木瀬公二、熊谷達也、
黒木あるじ、高成田享、高橋克彦、東雅夫、三浦明博、山折哲雄、山川徹、吉田司、
星亮一、佐藤賢一、高橋義夫、斎藤純の15氏。
テレビ、ラジオ、新聞、インターネットで、情報を得ていた私ですが、
この地域誌「仙台学」を読んで、活字の威力を思い知った気がします。
この本と同じく、荒蝦夷が出版した「話のさかな」も一緒に頼みました。
(「たどり着いた先で知った本(3)」に続きます)
最近のコメント