「幸福な猫の淋しい背中」
ヒロコ・ムトー(著) /文藝春秋 (1990/09)
ヒロコ・ムトーさんは、二十歳頃まで子猫すら怖くて
近寄れなかったそうです。
そんな彼女が、
チンチラ・シルバーの五右衛門と暮らし始め、息子のように愛し、
やがては、外猫として黒猫ゴールド親子の面倒をみるまでになる、そんな日々が綴られたエッセイです。
(→空がみーちゃんと呼ばれ
可愛がってもらっていたG家での
最後の日の写真です。
見慣れた景色の見納めと知らなかったでしょう。)
最初のエピソード「空を見ている五右衛門」では、
『そのものいわぬ背は、なんともいえず淋しげである』で終わる。
人間に愛され、他の猫には関心もなく過ごしていた五右衛門がある出来事で外への羨望を持ってしまうのです。
それをゆっくりあきらめ、平穏になったように見えるけれど、
その背中にムトーさんは寂しさを感じるのです。
そうこうする内に、近所でもすこぶる評判の悪い野良猫が登場します。
金色の目の色から密かにゴールドと呼び、気になる存在。
そのゴールドが2匹の子猫を連れてやって来る。
その姿をムトーさんも家族も、いつしか五右衛門も受け入れていくのです。
ラストのエピソード「幸福な猫の幸福な背中」は、次の文で終わります。
『いつの間にか、日常の一部として
互いを気っても切れない縁ができてしまった黒い猫と
白い猫は、春のやさしい陽光につつまれ、まどろむように
その幸福な背中を見せている。』
この猫たちとの生活から、ヒロコ・ムトーさんは
猫たちを題材にしたミュージカルも作られたようです。
また、この本の8年後には、外猫ゴールド一家のその後が書かれた
「猫の遺言状」(文芸春秋)が出版されていることを今回知りました。
探してみようかな。
♪かおこさん♪
そう、悩むまでは行かなくても、つい考えちゃうことありますね。
私と出会って幸せなのかな~なんて・・・
外を見つめる背中を見ていると、何を考えているのだろうと思ったり。
でも、この本に出てくるご近所の中沢さんの言葉には勇気付けられます。
『猫っつうのは、人間と家を自分で選ぶ動物なんだよ。・・・あくまで自分の気持ちが主体なんだ。』
まだ細いので首輪があまってます。G家でこの日のために用意してくれた首輪です。
投稿情報: iharaja | 2007/06/04 06:43
♪りりあんさん♪
そうです、そうです。水色の表紙カバー。
表側に五右衛門、裏側にゴールドの絵。朝倉セツさんのイラストで雰囲気あります。
五右衛門の去勢出術で自然をゆがめる行為と悩みつつ・・・など、自問することに共感しつつ、読みました。
猫好きのご近所さんや友人のエピソードもジーンと来ます。
投稿情報: iharaja | 2007/06/04 06:20
この本もまた魅力的。是非読みたいです。さっそくアマゾンで検索しなきゃ!
あー、なんかムトーさんの気持ちわかりますねぇ・・。そうそう、このコは家にいて幸せだろうけど幸せだろうか・・・って複雑な心境?!猫の背中ってすごく語るんですよねぇ。
空ちゃんのちったい時、華奢ですね。お花のカラーがかわいいです。いつもの窓辺だったんですね。お引越しするなんて思っても見なかったかなぁ。
投稿情報: かおこ | 2007/06/04 00:01
この本持ってます。
水色の本ですよね?(違ったっけ?)
どっかにあるはず・・・。
ずいぶん昔に買いましたよ。
買ったその日に読んじゃったけど、そういえば内容忘れたかも(~_~;)
もう一回読みたくなったわ・・・探してみよう~♪
投稿情報: りりあん | 2007/06/03 23:52
♪星子さん♪
猫嫌いだったのに、のめりこんで行ったとムトーさんは、あとがきで書かれていますが、それほど猫は魔法を持っているのかもしれませんね。
猫たちに触れていると、本当に心が安らぎます。
後ろ姿を見るとき、そこには彼らだけの世界が広がっているようです。
投稿情報: iharaja | 2007/06/03 05:09
とてもすてきなエッセイですね。私も読んでみたくなりました。「猫の遺言状」も気になりますね。
猫の背中っていつも何かを語ってる気がします。どうして猫って情緒にあふれているのでしょう。そして、猫に触れているとすごく心が落ち着きます。猫って不思議。ただいるだけで心を癒してくれます。すごい力ですね。
投稿情報: 三日月星子 | 2007/06/02 21:19